プロテインとBCAAとHMBとテストステロンの関係
筋トレをしていると、「プロテイン」「BCAA」「HMB」「テストステロン」という横文字をサプリの販売文句やブログ等のレビューでよく目にする。
ただ、俯瞰的に見た時に、それぞれがいったいどういう位置関係にあるのか理解しづらい。
そこで、少し整理したいと思う。
誤解を恐れずに、大雑把に言うと、以下のような関係になる。
タンパク質(=プロテイン)→ [分解] → BCAA → [分解] → HMB
筋肉を作る際は、この逆の順をたどることになる。
少し丁寧に書くと、このようになる。
「プロテイン」と「BCAA」の関係
タンパク質(=プロテイン)を構成する最小構成単位がアミノ酸であり、タンパク質が体内に入って使用される際は、アミノ酸に分解され、血流に供給される。
アミノ酸には種類がたくさんあるが、人間が必要とするアミノ酸は20種類あり、そのうち、必須アミノ酸と呼ばれるものが9種類あり、BCAAはその必須アミノ酸の3つだ。
BCAAは、Branched Chain Amino Acid(=分岐鎖アミノ酸)と呼ばれ、「L-バリン」「L-イソロイシン」「L-ロイシン」の3種類のアミノ酸が含まれる。
このBCAA(3種類のアミノ酸)は、特別なアミノ酸で、体内における必須アミノ酸の約40%を占めており、筋肉の成長に密接に関わる不可欠な構成要素になっている。
具体的には、BCAAが筋肉の回復をサポートし、異化作用(筋破壊)の予防に大きく貢献する。
つまり、筋肥大に必要な重要な栄養素であることが分かる。
では、プロテインとBCAAの関係を以下にまとめたいと思う。
プロテインとBCAAの比較
プロテイン(タンパク質) | BCAA | |
構成栄養素 | 人間に必要なアミノ酸20種類から構成 (筋肉にあまり関係のないアミノ酸も含む) |
筋肉の成長に密接に関係する必須アミノ酸3種類から構成 |
カロリー | カロリーが高い | カロリーが低い |
食事の代替になるか | なり得る | ならない (食事の置き換えには向かない) |
このことから、
プロテイン:不足しがちなアミノ酸を補完し、健康を志向する人向け。
ウェイトアップをめざすなら、プロテインの方が良い。
BCAA:ダイエット目的で、とにかく筋肉を大きくしたい人向け。
ということが分かる。
「BCAA」と「HMB」の関係
HMBは、BCAAの構成要素である「L-バリン」「L-イソロイシン」「L-ロイシン」のうちの、「L-ロイシン」の代謝産物(分解される過程で得られる途中生成物)である。
BCAAの3種類の必須アミノ酸のうち、筋肉の回復を助け、大きな筋肉を作るのに、特に貢献するのが「ロイシン」であることが分かってきている。
特に、「ロイシン」の代謝産物である「HMB」が筋肉の回復に密接に関係していると、最近の研究成果から分かってきている(新しい研究成果であり、まだ世にそれほど広まってはいない)。
HMBを1gを体内で生合成するためには、約20gものロイシンが必要なため、ロイシンの効果をピンポイントで実感したい場合は、BCAAよりもHMBを摂取する方が、遥かに効率的とのことだ。
HMBは、1996年にアメリカで発見され、サプリとして販売が開始されたのは2010年という、新しいサプリメントだ。
HMB摂取により期待される効果は、以下のとおりだ。
HMB摂取により期待される効果
〇 筋肉の分解抑制
〇 筋肉の合成促進
〇 BCAAと比較し、短時間トレーニング(30分以内)における筋肉回復
(BCAAは、30分以上の長時間トレーニングに向いている)
最近のおすすめは、プロテイン摂取を基本とし、トレーニング前等にHMBを補完的に摂取するのが良いとのこと。
テストステロンとは
テストステロンの血中濃度を高めると、より筋肉が効率的に付くというWeb記事をよく目にする。
テストステロンとは、ステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種だ。
「テストステロン数値が減る」=「オスとしての性的魅力がない」
と言われることもある、男性にとってのフェロモンと言っても過言ではないホルモンだ。
Wikipediaに依ると、テストステロンは、哺乳類のオスでは睾丸で95%、副腎で5%、メスでは卵巣や副腎から男性の5-10%程度ながら分泌されるとのこと。
テストステロンの作用として、以下の3つが挙げられる。
(i)筋肉増大
(ii)骨格の発達
(iii)女性の男性ホルモン分泌の分泌量は前述通り男性の5-10%程度で、陰毛の発毛に関与
効果的な筋肥大をめざすには、テストステロンの分泌を促進するのが良い。
テストステロンの分泌を促進する方法を11個紹介する。
(1)筋トレをする
激しい筋トレをすると、テストステロンの分泌が促進される。
激しい筋トレとは、所謂「追い込む」筋トレであり、「もうこれ以上挙げれない」というところまで追い込むことで、ガツっとホルモンが分泌され、その中にテストステロンも含まれるというものだ。
(2)睡眠の質を高める
シカゴ大学の教授らによる実験においては、「睡眠の質が高い男性は、睡眠不足の男性よりもテストステロン値が高かった」という結果が報告されている。
特に、22〜翌2時はホルモン分泌が活発に行われるゴールデンタイムであることから、なるべくこの時間に寝るように心がけると、テストステロンの分泌を促進させることができる。
(3)ビタミンDを摂取する
ノースカロライナ州で行われた実験によると、ビタミンDの基準摂取量の多い男性ほど、テストステロンの値が高いという結果が得られたと報告されている。
日本人のビタミンD基準摂取量は約5ug。(魚の赤身部分100g程度相当)
また、ビタミンDは、日光浴(太陽光を浴びる)ことでも生成されるため、日光浴もおすすめである。
(真っ黒に焼けたセレブは、活き活きしているように見えるのは、テストステロンの分泌が関係しているとの諸説あり)
(4)亜鉛を摂取する
亜鉛自体には直接的にテストステロンを増やす効果はないらしいが、「亜鉛」は体調を整えて結果的にテストステロンの分泌を促進させる効果が期待できる。
男性の場合、亜鉛は精子を作る原料になる等、必要な栄養素だ。
男性が1日に必要な亜鉛は12mgと言われており、1日の食事でとれる亜鉛の平均は8mg程度。
亜鉛は牡蠣等に多く含まれるが、食事から必要な量を摂取するのはなかなか難しく不足しがちであり、従って、サプリメント等で補うのが良いと言われていらう。
参考だが、男性の場合、精力アップをある程度実感できる必要量は1日15mg~20mgと言われおり、 勃起力回復には、20~30mgくらいは摂れるのが理想らしい。
(5)魅力的な女性を口説く(ドキドキする)
自分が、可愛い!魅力的だ!と思う女性を口説くと、活発に男性ホルモンが分泌されることから、テストステロンの分泌も促進される。
(6)アルコール摂取を控える
アルコールを摂取し、所謂「酔っ払った」状態になると、テストステロンの分泌が抑制される。
ビール1〜3杯程度では問題ないとの意見もあるが、泥酔するほどは飲まない方が良い。
(7)ストレスを減らす
これはなかなか難しいことだが、高ストレス状態下にいると、テストステロンの分泌が抑制されてしまう研究結果がある。
従って、なるべくストレスから遠ざかるように心がけた方が良い。
(8)痩せる
これもなかなか難しいのだが、お腹に脂肪がたくさんつくと、それだけでテストステロンは減少するとの実験結果が報告されている。
できれば、体脂肪は15%以下に抑えると良い。
(9)水分補給をする
体中の水分が減ると、テストステロンの分泌が抑制される。
従って、細やかな水分補給をするのが良い。
(10)禁煙する(タバコを吸わない)
喫煙は、コルチゾールを増やすので、その結果としてテストステロンは減少してしまうという実験結果が報告されている。
タバコは辞めたほうが良い。
(11)コーヒー(珈琲)を飲む
コーヒーを飲むと、テストステロンが活発に分泌されるという記事をよく目にする。
2008年の米国疾病管理予防センター(CDC)の調査によると、コーヒーに含まれるカフェインはテストステロンを最大で約20%増加させると発表している。
1日240mgのカフェインでテストステロン値が14%上がったとのことだ。
効果は摂取して30分以上後から出はじめ、効果の持続時間は4〜5時間と言われている。
また、余分な砂糖等を摂取すると、逆にテストステロンの分泌を抑制する効果があるので、ブラックコーヒーがおすすめである。
ただ、飲みすぎは禁物で、一日に400mgが健康な成人の目安摂取量とされており、これ以上摂取すると、睡眠障害等の弊害が生じる。
コーヒー100mlには、コーヒー豆の品種(アラビカ種、ロブスタ種等)にも依るが、約60mgのカフェインが含まれている。
コーヒーカップ1杯は約150ml程度なので、一日にコーヒー4杯までが目安となる。
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