はじめに
ターンテーブルを購入してからというもの、繋ぎかえるのが面倒なので、我がお手製スピーカーから音を出すデバイスは全てTechnicsDJミキサーを通るようにしていた。
しかし、アンプのボリュームを上げると、ブーンとハムノイズがのってしまう。
SH-DJ1200 は電源が内臓で、電源を隔離するようなシールドがされていないために、ハムノイズがのってしまうようだ。
SH-DJ1200 の電源周りを改造するのも手であるが、この際オーディオミキサーを作ってしまうことにした。
SH-DJ1200 はレコードのようにあたたかい音源には音が馴染むが、PC音源などには向いていない。
せっかくなので、透き通ったような音のなるミキサーを作りたい。
設計
レコードをコスるマネごとなどはSH-DJ1200にお任せすることにして、とにかく入力を加算するデバイスを作る。
加算といえば、オペアンプを用いた加算器だ。
次のようにシンプルな回路にした。
増幅率は1倍、この回路図は片チャンネル分だ。
実際には両チャンネル作り、ステレオにする。
反転増幅回路なので、位相が反転してしまう。
オーディオ用途の場合は、位相が反転しても問題ないが、精神衛生上好ましくない。
そこで、反転増幅回路を2段設けることで解決。
オペアンプには正負電源が必要な点が難儀である。
VICS USB Audio キット(PCM2704) の時はチャージポンプ方式で負電源を作ったが、今回はACアダプタを2つ使うことで実現する。
正負電源はLCローパスフィルタにより、高周波ノイズをカットし、クリーンな電力供給を狙っている。
部品集め
最も重要なオペアンプは OPA2134 にする予定だったが、NJM2114DD が売られていたので思わず予定変更。
部品 | 個数 | 部品詳細 | 値段(1個) | 購入先 | |
---|---|---|---|---|---|
U1,U2 | NJM2114DD | 2 | ノイズ選定品 | 180 円 | シリコンハウス共立 |
R2-R8 | 20kohm | 14 | ニッコーム 1/2w | 42 円 | 若松通商 |
C6,C7 | コンデンサ 1000uF | 2 | 超低ESR 16V | 63 円 | シリコンハウス共立 |
C1-C5 | 10uF | 10 | 東信 UTSJ | 52 円 | 若松通商 |
C8,C9 | 0.22uF | 2 | 積層型メタライズドポリエステル | 31 円 | シリコンハウス共立 |
L1,L2 | トロイダルコイル | 2 | 43uH、定格電流1A | 52 円 | シリコンハウス共立 |
ユニバーサル基盤 | ICB-93SG | 1 | ガラスエポキシ | 378 円 | シリコンハウス共立 |
RCAプラグ | MR-565MG | 10 | Y14H-1C-5DS | 136 円 | シリコンハウス共立 |
DCジャック | 2.1φDCジャック | 2 | パネル型 | 63 円 | シリコンハウス共立 |
ロータリスイッチ | 6回路2接点ロータリー | 1 | アルプス | 241 円 | シリコンハウス共立 |
ICソケット | 8pin | 2 | 丸型 | 26 円 | シリコンハウス共立 |
ツマミ | アルミツマミ | 1 | サトーパーツ | 420 円 | 若松通商 |
ケース | UC9-5-12DD | 1 | タカチ | 2,050 円 | 秋月電子 |
ACアダプタ | 5V 2A | 2 | 超小型スイッチングACアダプタ | 550 円 | 秋月電子 |
スペーサー | ネジ+スペーサー | 1 | プラスチック | 50 円 | 秋月電子 |
カップリングコンデンサには 東信 UTSJ、抵抗はプレート抵抗のニッコームと、自己満足こだわり仕様だ。
UTSJ は近頃お気に入りのコンデンサだ、BlackGate の発売が終わったのと同時期に現れ出したオーディオコンデンサだ。
低音から高音まですんなりキレイに鳴らし、MUSE KZ と比べると音の厚みは小さいが、各音が凛としていて迫力があるように思う。
NJM2114DD はバイポーラ入力のオペアンプだ。
DDという型番は、ノイズ選定品であることを表している。
FET入力の OPA2134 や OPA2704 に比べるとあたたかい音色だ。
欠点はPOPノイズが大きいことだろうか。
ケースはまたしてもタカチのUCシリーズにした。
このケースは最高である。
製作
いよいよ楽しい製作だ。
回路を組むのは楽しいが、ミキサーは入力がたくさんあるので配線が面倒。
ロータリースイッチにより電源をON/OFFすることにした。
なんだかちょっぴりかっこいい。
回路図には載せていないが、電源のLPFのところにいろいろな銘柄のコンデンサを投入したり、出力カップリングコンデンサにフィルムコンをパラったりしてみた。
ちょっとした自己満足味付け。
色んな銘柄の部品を使った方が、音に深みが出るように思う。
入力端子がたくさんあるので、ケースの加工が大変。
ということでちょっと手抜きをした。
背面パネルだけ、アクリルにした。加工が飛躍的に楽だった。
絶縁処理に頭を悩ます事もない。
ハンドドリルを購入したら、アルミにしたい。
ACアダプタを2つ使用するが、5V のものだと安いし小さいので問題ない。
完成
右下の箱が今回製作したオーディオミキサーだ。
DAC、アンプ、オーディオミキサーとなんだかテーマが統一されていない感が否めない。
なんだかなぁ。
○音の感想
非常にクリア。
SH-DJ1200 と比べると歴然の差だ。
悩ませられていたハムノイズも全くない。
最高だ。
DACとアンプを直接繋いだ時と、間にこのオーディオミキサーを挟んだ時を比べると、このミキサーを挟むと音のあたたかみが増して落ち着くように思う。
また、ミキサーを挟むことにより音の澄みや迫力が失われることもない。
PC、SH-DJ1200、テレビ を繋げて使っているが、今のところ全く難はない。
我ながらあっぱれである。
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