FX-AUDIO DAC-X4J 分解&修理|コンデンサ交換で音質アップ

Audio

FX-AUDIO DAC-X4Jを購入した

FX-AUDIO DAC-X4J が メルカリで格安で販売されているのを見つけてしまい、脊髄反射で購入した。

DAC-X4Jは、錆びる?という理由からDAC-5Jの基盤を流用した、格安ながら高音質とマニアがヨダレを垂らす逸品だ。

FX-AUIO DAC-X4J

FX-AUDIO DAC-X4J 概要(実はDAC-X5Jと基盤が同じ)

DAC-X4Jは、DAC-X5Jと同じ基盤を使っている。

ということで、さっそく確認してみよう。


確かに、DAC-X4Jのはずなのに、分解して基盤を見ると、「NFJ&FX-AUDIO-CAC-X5J RPO 2015 01」という印字がある。間違いなくDAC-X5Jの基盤だ。

DAC-X5Jの基盤を流用

NFJ(North Flat Japan)公式ブログによると、DAC-X5Jには基盤が錆びるというトラブルが発生して、生産がSTOPしたらしい。
(錆トラブルの詳細は、今や Yahoo!ブログ が終焉してしまい見れないので、詳しいトラブルは不明)

この DAC-X5J の基盤を流用して、アウトレット品として、DAC-X3Jよりも千円以上安く販売したのが DAC-X4Jなのだ。

当時の基板を再利用するにあたり、錆が進行しないよう対策処理を行ったうえで保管し長期間に渡る経過観察を経て、問題ない状態であることを確認済みです。また、動作上問題なくとも外観的に問題のあるものと、錆の範囲が広いものは除いておりますので、ご安心ください。

端子の一部に錆がある状態の個体も有りますが対策処理により長期的にご使用いただいても問題は発生しませんし、音質・ 性能と通常使用においての問題はございません 。 1ヶ月の初期不良保証もございますので、 DACを安価に入手したいという方には非常にコストパフォーマンスの高い製品 となっております。

NorthFlatJapan 公式ブロク http://nfj2019.livedoor.blog/archives/2601020.html

確かに、撮影した写真を見てもらうとわかると思うが、私のDAC-X4Jも、DC電源入力の端子が、完全に錆びている

写真では分かりづらいかもしれないが、この足は銀色であるべきだが、錆びて焦げ茶色になってしまっている。

また、「錆が進行しないように対策処理を行った上で」とあるが、一体どんな対策を講じているのかは不明。


DAC-X5Jとの違いは、なんとUSBレシーバICが「VT1630」→「CM108」に変更になっただけだ。

DACの中核を担うICや、DAI、コンデンサ等も変更が無いということで、超お得なプライスでDAC-X5JがGETできてしまうという製品になっております。(まぁ、私はメルカリで買ったんですが)

DAC-X4Jに錆対策を!

とりあえず、基盤全体に接点復活剤を吹きかけて、綿棒で拭き拭きしておきました。

実は、NFJが対策した防錆処理を、この接点復活剤が溶かして取り除いてしまっていたりして(え

DC電源端子の錆を取ろうかと、耐水ペーパで擦ってみたりしたが、そんな生易しいものでは、錆は落ちなかった。

ということで、今後錆が広がるようであれば、DC端子自体を取り替えることにしよう。

電解コンデンサの交換

基盤をよく見ると、10uFの電解コンデンサの周辺に、液漏れしたような痕跡を発見。
(ちなみに、下に掲載した写真は、その液漏れ痕跡を、接点復活剤で浮き上がらせているところ。接点復活剤を散布する前の写真を撮り忘れた)

電解コンデンサの液漏れの痕跡

このエントリー↓に詳しく書いたが、電解コンデンサーは、経年劣化で液漏れしてしまうと、静電容量がほぼ0uFになってしまう。
液漏れの痕跡を発見したら、速やかに交換してあげることをオススメする(交換方法も、このエントリーに記載してあります)。

交換前はこんな感じ↓

電解コンデンサ交換前

ELNA SILMIC 10uF 35Vが付けられている。

茶色のスリーブに、白色という無難なルックスだが、音は「気品のある」「やさしい」とのレビューが多い

ちなみに、ELNAの公式サイトを見ると、SILMICシリーズには、シルク繊維が使用されているそうで、「今までのアルミ電解コンデンサでは得られなかった「しなやか」で量感のある音楽再生を可能にしています」とのことらしい。

こんなに良いコンデンサを取り除かないといけないというのは、なんとも心苦しいが、液漏れした容疑がかけられているのだから、仕方が無い。

しかし、オーディオグレードのこれだけ小さなコンデンサーが、液漏れするという事象は、体験したことがない。
生産過程で、何かトラブルがあったのかもしれない(ハンダで傷つけちゃったとか?)。
コンデンサの頭のてっぺんの部分のスリーブに傷がついていたので、そんなところだろうと思う。

ちなみに、このコンデンサは、RCA出力用のカップリングコンデンサだ。めちゃくちゃ音に影響するコンデンサなのだ。

電解コンデンサの交換

ちょうど手元にあった東信工業 UTSJ (音響用) 10uF 25Vのコンデンサに変更することにした。

(普通の人は、家に電解コンデンサがストックされていたりしないと思うので、Amazon、秋月電子、若松通商、シリコンハウス共立などで買ってください)

耐圧は35V→25Vとなり、小さくなるが、このDACには高い電圧は使われていないので、問題ない。(しかも、カップリングコンデンサだし)

シルバーのスリーブに、黒の印字がカッコいい。存在感がある。

日本製で、あまり有名じゃないが、マニアの間ではけっこう評判の良い電解コンデンサだ。

東進工業曰く、「「原音再生」を極限まで追い求めた、ハイクオリティー・コンデンサ。ひずみのないその響きは、まるで憧れの演奏者が眼前にいるよう。奏でる音、繊細な感情までも忠実に再現します。」とのことだ。

Jovialというシリーズらしく、Jovialとは、「楽しい」「陽気な」という意味らしい。

ユーザのレビューでは、「音に量感がある」「低音が出る」という評価が多い

東進工業UTSJに電解コンデンサを交換

こんな感じで交換しておいた。やはり銀色のスリーブが映える。カッコいい。

電解コンデンサ変更後の音の変化(ELNA SILMIC→東進工業UTSJ)

おったまげた。

もう明らかに低音がズドンズドン鳴るようになった。

あと、音の輪郭がはっきりして解像度が向上した。
また、男性ボーカルの声が艶っぽくなった。最高だ。

これは、ELNA SILMICとの比較というよりは、液漏れしていて静電容量が低下して、もうコンデンサの役割を果たしていなかった故障を、コンデンサ交換により修理したことによる変化だと思う。

FX-AUDIO DAC-X4J の部品チェック

さて、せっかく分解したので、ここからは、DAC-X4J に使われている部品をチェックしていこうと思う。

NFJ公式サイトの図を拝借すると、こんな感じ↓のシステム構成になっているらしい。

また、部品の説明もNFJのブログにあったので、転載させていただく↓

DAC IC – CIRRUS LOGIC CS4344

DAC IC(デジタル信号をアナログ信号に変換するIC)は、CIRRUS LOGIC の CS4344 が使用さている。
先ほど、電解コンデンサが液漏れしている写真として載せた、この写真↓の接点復活剤のお風呂に浸かっている10足の小さなICが、CS4344だ。
(まさか、こんな小さなショボいICが、最も大切な DAC IC だなんて気づかずに、接点復活剤シュー、シューってやってました)

電解コンデンサの液漏れの痕跡

この CS4344 は、192KHz / 24bit に対応しており、有名な DAC IC だ。
「安価ながら高音質」と評判が良く、音質に拘ったヘッドフォンアンプなどに使用されているのをたまに見かける。

これだけ小さな筐体の中に、サンプリングレートを自動検出する機能、ローパスフィルタの機能が具備されている。
CIRRUS LOGIC社が提供する 技術仕様 を見ると、以下のことが分かる。
・3.3V or 5.5V の単一電源で動作する(なので、CS4344を使用したDACの自作例を多く見かける)
・105 dB Dynamic Range
・-90 dB THD+N
・外部クロック入力に対応


ダイナミックレンジやS/N比は、DAC-X4J の3倍の価格がする DAC-SQ5J で使用されている PCM-1794A と比較すると見劣りすることは否めないが、精度の高いクロックを外部入力することで、このCS4344は化ける
(後述するが、DAC-X4Jは、ちゃんと精度の高いクリスタルオシレータ(水晶発振子)が使用されており、ここから精度の高いクロックが入力されている。)

クリスタルオシレータ(水晶発振子)

DAC が動作する基準クロック(これはDACにおいて、とてつもなく大事)には、FX-AUDIO特注の精度が高そうなクリスタルオシレータ(水晶発振子)が使われている。
この右下の、長方形の銀色の大きな部品ですね↓

FX-AUIO DAC-X4J

「FX-AUDIO 12.288MHz」という印字がされており、FX-AUDIO特注であることが分かる。
クリスタルオシレータって、精度が高いやつは、けっこう高額なので、がんばってコスト落としながら精度高いものをNFJが特注で発注したんでしょうね。コダワリが感じられて、とても好印象。

DAI IC – CIRRUS LOGIC CS8416

DAIと言って、Digital Audio Interfaceの略で、光デジタル(S/P DIF)等で入力された信号を、DAC ICが処理できるように I2C などのフォーマットに変換する部品だ。
デジタル→デジタル処理なので、デジタル信号を劣化させない限りは、音質には大きな影響は無いが、CS8416は評判が良い。特に、最大192kHzまでのサンプリングレートに対応するため、ハイレゾ・オーディオなDACでよく利用される。

この写真↓の、右下の蜘蛛のような IC だ。私も自作DACで利用したが、このとてもとても小さな足をハンダ付けするのは、めちゃくちゃ難しい。

DAI CS8416

ちなみに、この IC 1つだけで、1500円くらいする。
(若松通称で売られていて、だいたいこのくらいの価格)

中核の DAC IC よりも、DAI IC の方がべらぼうに高いというのは、どういうことなのだろうか…
(100 lot くらいまとめて買えば、ボリュームディスカウントで破格で買えたりするのかな)

オペアンプ – TI NE5532P

ヘッドフォンアンプに使用されているオペアンプは、Texus Instruments (TI) 社の、NE5532P という名機だ。
発売から20年以上経っても、未だに現役で様々なオーディオ製品で使用されている老兵だ。

モニタリング用のオーディオ機器で使用されるくらい信頼が高く、「清涼」「素直」「パワフル」な音が特徴との評判。
100円くらいで買える「THE 定番オペアンプ」だが、老兵侮るなかれで、色々なオペアンプを試した結果、「一巡してやっぱりこのNE5532Pがいい」、ってことがけっこうある。
オペアンプの音の好みは、値段じゃないんです。

ちなみに、NFJさんはオーディオ好きな人の心理を理解してますね。
オペアンプは、DIPソケットが付いていて、ハンダを使用せずに、簡単に交換できるようになっている。
オーディオマニアは、「自分だけの音」とか「改造」なんて言葉が大好きなので、その心理を突いたすばらしい戦略だ。

ちなみに、このオペアンプは、ヘッドフォン出力用に使用されており、RCA出力には使用されていない。従って、このオペアンプの変更は,ヘッドフォン出力にのみ影響する。
あと、このオペアンプは、正電源だけでなく負電源も必要になるのだが、この回路ではどこで負電源を作っているのだろう?というのが疑問。ヒートシンクの付いたICは、レギュレータっぽいのだが、実は負電源を作るためのチャーチポンプICだったりするのだろうか?このヒートシンクで隠されたIC以外に、負電源を生成できそうな回路が見当たらないので、たぶんそうなのだろう。

オペアンプはNE5532P

カップリングコンデンサ

DAC 出力のDC(直流)成分を除去するために、信号ラインに直列で挿入するカップリングコンデンサは、音に与える影響が甚大である。
周波数特性の悪いコンデンサを使用すると、音が歪んだり、高音がキレイに出なかったりする。

ヘッドフォン出力のカップリングコンデンサには、ELNA の電解コンデンサ(紫スリーブ)が使用されている。

ELNA特注品のコンデンサ

RCA出力については、前述したように、ELNA SILMICが付けられていたが、これは東進工業 UTSJ に交換した。


電源平滑コンデンサ

電源平滑コンデンサには、SANYO AX 1800uF 16Vが使用されている。
緑色のスリーブに金色の文字が、高級感を漂わせる。
(それにしても、どの部品もオーディオグレードの高級品が使われていて、素晴らしい)

耐震による周波数特性変動を意識してか、耐震用のスポンジが電源平滑コンデンサに貼り付けられていて、ここにも高音質化へのコダワリを垣間見ることができる。

1800uFしか容量が無いので、欲を言えばもっと大容量のコンデンサを使用して、リップル含有率を減らして、クリーンな電源入力にしたいところ。

電源平滑コンデンサ

USB IF IC – CM108

USB IFの変換のための IC には、C-Media の CM108 が使用されている。
この CM108 は、DACの機能も持っているが、このDAC機能は利用せずに、デジタル信号のまま DAI: CS8416 に入力している。
デジタル信号→デジタル信号に変換しているだけなので、ここでの音質への影響は小さい。

ただ、一つ残念なのは、この CM108 は、PCM 最大16bit/48kHz にしか対応していないので、USB入力に限っては、ハイレゾ・オーディオには非対応となる。
(光デジタル入力は、24bit/192kHzまで対応している)

USB IC

C-Media の CM シリーズを見ると、懐かしさがこみあげる。

その昔、C−Media CM102-A+ というショボいICを使って、USB-DACを自作したりして遊んでいたことが思い出される。
その時から比べて、格段にオーディオ環境は良くなったものだなぁ(しみじみ

おわりに

長くなったが、DAC-X4Jは、こんなに安価なのに、とんでもなく良い音が出る!というのが結論だ。


今後の改造ネタとしては、「1.カップリングコンデンサをフィルムコンデンサ化」「2.電源平滑コンデンサの容量アップ」あたりを実践して、またレポートしたいと思う。

こんなに安く手に入れたのに、こんなに遊べて最高である。
ちなみに、今はテレビの音を、アンプに繋げるためのDACとして、DAC-X4Jを使ってます。

Burr-Brown社製 OPA627AU 2回路DIP化オペアンプ完成基板 実装品

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