古いアンプのコンデンサを交換して音質向上させる方法|DENON PMA-390II

古いアンプのコンデンサを交換する

L-chの音が出ないという理由でハードオフで格安で売られていた DENON PMA-390II を、修理して使っている
修理の模様はこちらのエントリー↓に書きました。

PMA-390II は、なんと 1996年製のプリメインアンプだ。
おったまげるほど古い。なんと20年以上も前のプロダクトである。

購入時に片方の音が出ない症状を修理した際に、経年劣化とともに必要なメンテナンス事項である、リレー接点の分解清掃や、ボリュームの分解清掃をしたが、電解コンデンサの交換はしていなかったので、この際一気に交換してしまうことにした。

PMA-390II
DENON PMA-390II の内観(部品は交換前のオリジナル)

電解コンデンサとは

コンデンサとは電気を蓄えたり放電したりする、小さなバッテリーのような役割の電子部品だ。

コンデンサは、電気回路において必須の部品だが、オーディオ用途では、平滑コンデンサカップリングコンデンサとしての役割が代表例と言えるだろう。

・(1)平滑コンデンサ:電源回路において、交流(AC)を直流(DC)に変換する際に、ACの高い周波数成分を逃し、DCとなるように低い周波数の成分のみを蓄積して、安定化する

・(2)カップリングコンデンサ:アンプ出力のDC成分をカットして、音の信号情報のみをスピーカーへ渡す

コンデンサにも種類があるが、その中でも電解コンデンサは寿命が短い温度が高いほど寿命は短くなるが、せいせい10年か20年くらいで、電気容量は低下していく。

古い電解コンデンサ
PMA-390IIから取り外され、役目を終えた電解コンデンサ達

電解コンデンサとは、アルミなどの電極と電極の間に、電解液と呼ばれる油が挟まれた構造になっており、この電極の間に電気が蓄積される

しかし、経年とともに、この電解液がじわじわと外部に漏れ、蒸発することで、静電容量が低くなっていく(これを一般に「ドライアップ」と言う)。

私がGETしたプリメインアンプは、20年を超えた選手なので、とっくの昔に電解コンデンサは寿命を迎えていたことでしょう。

コンデンサの種類

コンデンサの種類と特徴をザックリとまとめるとこんな感じ。

種類主な用途容量価格周波特性寿命
(1)電解コンデンサ・電源平滑コンデンサ
・カップリングコンデンサ

(1uF〜)
安い悪い
(オーディオグレードは改善されているものもある)
短い
(2)積層セラミックコンデンサ・IC等の高周波ノイズ除去(パスコン)
(〜10uF)
安い良い
(高周波は歪みがあることも)
長い
(3)フィルムコンデンサ・IC等の高周波ノイズ除去(パスコン)
・カップリングコンデンサ

(〜10uF)
高い良い長い

オーディオ用途では、周波数特性が良い(3)フィルムコンデンサが歪みが無く、最も高音質だと言われている。

上記の表だけ見ると、(2)積層セラミックコンデンサも良さそうに見えるが、高周波帯の歪みがフィルムコンデンサと比較すると劣り、温度の変化で特性も変化しやすいので、フィルムコンデンサの方が良いと言われている(その分、フィルムコンデンサの方が大きいし高いのだが)。

ただ、フィルムコンデンサは原理上、大容量を作るのは困難なため、大容量が必要な電源の平滑コンデンサには、(1)電解コンデンサを使用しなければならない。

電解コンデンサの交換

前置きが長くなってしまったが、ようやくコンデンサ交換の話になります。

必要なものは、「はんだこて」「ハンダ吸い取り線」「ハンダ」「ニッパー」「テスター(できれば)」「1kΩ〜20kΩくらいの抵抗」だ。

はんだこて

はんだこては、40Wくらいがオススメ。1000円以内で買える(お金がある人は、温度調節機能が付いているものがもちろん良い)。
私は、「15Wのコテ」と「40Wのコテ」と両方持っているが、15Wでは大きな電解コンデンサやGNDに接続された端子などのハンダを溶かせないので、40Wくらいがオススメ。

40Wでジュッと短時間でハンダを溶かして、吸い取った方が、部品への熱ダメージも少ないように思う。

ハンダ吸い取り線

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ハンダ吸い取り線はどんなものでもたぶん大丈夫。
ハンダ吸い取り器と言って、注射器のような形をしたハンダを空気圧的に吸い取ってくれるものもあるが、無くても特に不便は無い。
(お金がある人は、熱する+ハンダ溶かす+吸い取るを自動でやってくれる2万円くらいのハンダ吸い取り器を買うと幸せになれるだろう。)

ハンダ

ハンダも何でも良い。
一応、伝導率の高い銀が入ったオーディオ用のハンダがあるので、オーディオ用ハンダがオススメ

環境に配慮した鉛フリーハンダが増えてきているが、鉛フリーハンダは、融点が約217℃と高く、また「ぬれ性(スライムのように広がりやすいか)」も悪いので、初心者には難しいかもしれない。

普通の鉛の入ったハンダは、融点が約183℃で、ぬれ性にも優れる。

ニッパー

コンデンサを取り付けた後に、足を切るために使う。
どんなものでも良い。

テスター

オーム電機(Ohm Electric) 普及型デジタルテスター TST-KJ830

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電圧や抵抗値を測るために、テスターはあった方が良い。1000円少しで買える良い時代になったので、持っておくことをオススメする。
特に、巨大な電解コンデンサを交換する時に、ちゃんとコンデンサが放電したかを確認するために、安全面でもテスターはあった方が良い

1kΩ〜20kΩくらいの抵抗(コンデンサ放電用)

抵抗1/2w 1% 1kΩ 抵抗カーボン抵抗 10本入<res-1323>

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巨大なコンデンサが放電していない時に、ショートしてバチっと火花が散らないように、放電用に1kΩ〜20kΩくらいの抵抗(1/2W以上の耐性が良い)があると良い。
この抵抗を、コンデンサの2つの足に暫定で繋げて、蓄えられた電気を逃がす(熱に変換する)用途で使用する。

電源平滑コンデンサの交換

8200uF 56V の AUDIO と書かれた電解コンデンサが2つ贅沢に使われていた。
それぞれ、プラスの電圧と、マイナスの電圧を安定化するために、1つずつ使われていた。
(2つが並列で繋がって8200uF x 2 = 16400uFになっている訳ではない)

茶色のスリーブに金色の文字で、オーディオグレードの高級感がある。

Web記事によると、DENONカスタム仕様の特注品らしい。
(そのため、電子部品屋で探しても、同じものは見つからない)

電解コンデンサ

大きなブロックコンデンサなので、3つ足の端子になっていたが、+1の足はただ大きな図体を支えるための足なので、2つ足の普通のコンデンサに交換して問題ない。

オーディオ用電解コンデンサー ニチコンKW 10000uF 50V 85℃

電源平滑コンデンサの交換

ニチコンKWは、ニチコン社曰く「低域から高域までの、バランスの良い音質」「音の分解能にも優れており、ホームシアター等で臨場感を高める等、高い次元での音質改善の効果が期待できます」とのことで、電源平滑コンデンサとして使用すると、ハズレが無く確実に音質アップが期待できる。

8200uF 56V のコンデンサは探したけど見つからなかったので、10000uF 50Vの電解コンデンサにすることにした。
耐圧が56V -> 50Vと小さくなって不安だが、付近の電解コンデンサは50V耐圧のものが使われていたので、50Vでも問題無さそうだ。
(皆さんは、なるべく耐圧は同じか大きいものを選ぶようにして欲しい)

容量は、8200uF -> 10000uF と大きくなる。
容量は大きい方が、リップル含有率を低下させ、高音質化が狙えるので、大きい分には問題ない。
リップル含有率については、このエントリー↓に詳しめに書きました。

(しかし、あまりに大きくしすぎると、突入電流と言って、アンプの電源をONにした時に、この巨大なコンデンサを充電するために、最初に大きな電流が流れて、ヒューズが飛ぶことがあるので、大きくしすぎることは無いようにしたい)

ちなみに、Amazonには、10000uF 63V耐性のブロックコンデンサがあって迷ったが、安いニチコンKWにした。

コンデンサの外し方は、ハンダコテをハンダ吸い取り線に当てて、外したいコンデンサの足に付けてハンダを吸い取ればOK。

電解コンデンサの交換(ハンダ吸い取り線)

1000uFよりも大きいコンデンサを交換する時は、コンデンサが電気を蓄えているか、確認してから、交換した方が良い。

絶縁手袋(軍手で代用可能)をはめて、テスターでコンデンサの足間の電圧を計測する。

電解コンデンサの放電を確認

1V以上の電圧を持っている時は、放電させたほうが良い

放電せずに交換しようとすると、バチッと火花(アーク)が飛んで、基盤や部品を傷めてしまうか、最悪の場合感電してしまう。

放電方法は、1kΩ〜20kΩくらいの抵抗を、端子の間に付けて、コンデンサに蓄えられた電気を抵抗に流せば良い
(抵抗に電流が流れることで、電気が熱に変換されて放電される)

私は、ペンチで握りやすいので、赤いプレート型の抵抗を使っているが、普通の1/2Wのカーボン抵抗で良い。

大きな電解コンデンサの交換

こんな感じ↓で、無事にニチコンKWに置き換わった。
(容量はアップしたが、耐圧は小さくなったので、サイズは一回り小さくなった)

電源平滑コンデンサの交換

(ちなみに、DENON PMA-390IIの基盤は秀逸で、この平滑コンデンサは交換することを想定されているようで、3つ足用の穴と、2つ足用の穴の両方のプリントパターンが用意されていた。)

電圧変換回路(レギュレータ周り)のコンデンサの交換

この右側のICは6Vのスイッチングレギュレータ7806だ。
この変圧後の電圧平滑用の220uFの電解コンデンサと、ICの高周波ノイズを逃がすための1uFの電解コンデンサを交換した。

レギュレータのコンデンサの交換

電圧平滑用の220uFのコンデンサ(黒いやつ)は、Aconという中国メーカーの安いコンデンサだ。

このアンプには、電源周りの220uFや330uFくらいの容量の電解コンデンサに、コスト削減のためか、このAconという中国製のコンデンサが多く使われている

レギュレータ入力の高周波ノイズを逃がすためのコンデンサは、高周波特性の良い「積層セラミックコンデンサ」や「フィルムコンデンサ」が使用されることが多いが、オーディオグレードの電解コンデンサが使われていた(水色のやつ)。

電圧平滑用は、ニチコンMUSE FG へ交換。
ニチコンのオーディオ用ハイグレード品である FG (Fine Gold)だ。金色のスリーブに黒字がカッコいい。
ニチコン MUSE FG は、「豊かな低音と伸びやかな中高域を実現」との謳い文句どおり、中低音の鳴りに迫力が出ると好評のコンデンサだ。

レギュレータ周りのコンデンサ交換

レギュレータ入力の高周波ノイズを逃がすためのコンデンサは、高周波特性が良いメタライズドポリエステルフィルムコンデンサを使用した。

さようなら電解コンデンサ。

ちなみに、本当は元々の容量である1uFにしたかったのだが、カウントミスで部品が足りなくなったので、0.1uFのフィルムコンデンサとした(黄色いコンデンサ)。
(レギュレータ入力の高周波ノイズを逃がすためのパスコンは、0.1uF〜1uFくらいを付けることが多いので、問題ないだろう)

カップリングコンデンサの交換

カップリングコンデンサは、オーディオ信号線に直列で入るコンデンサのため、音質に与える影響が大きいと言われている。
(一般的に、コンデンサは回路に並列で接続することが多いが、カップリングコンデンサだけは、直流成分を除去してスピーカーに信号を伝えるために、直列で挿入する)

そのため、ここは多少お金をかけてでも、周波数特性が良いフィルムコンデンサを使用することをオススメする

元々付いていたのは、日本ケミコンのオーディオ用コンデンサ ASF 3.3uF 50V だ。
このASFは、やや高音寄りだが、解像度高く高音質とそこそこ好評な電解コンデンサだ。
臙脂色のスリーブに金地が、高級感があってカッコいい。

カップリングコンデンサの交換

ただ、所詮は電解コンデンサなので、フィルムコンデンサの周波数特性には劣る。

ということで、Suntan(台湾メーカー)の TS04B というメタライズドポリエステルフィルムコンデンサ 3.3uF 250V を選定。

3.3uFもの大きな容量をフィルムコンデンサで実装すると、これだけ巨大になるんですね。
もう見た目からして、すごく良い音鳴りそう。

低音から高音まで、歪みが無く高解像と前評判のフィルムコンデンサ

ちなみに、このFX-AUDIOの限定版フィルムコンデンサと迷ったが、Suntan TS04B は、秋月電子で格安で売られていたので、こっちにしてしまった。

とてつもなくデカいので、実装するのにとても苦戦した。
なんとか収まった↓(黄色いやつ)

カップリングコンデンサの交換

イコライザー部のコンデンサ交換

イコライザー部分には、日本ケミコンのオーディオ用電解コンデンサ ASF(臙脂色のスリーブに金字)と J.Jと書かれた謎のオーディオ用電解コンデンサ(水色のスリーブ)が使われていた。

この J.J というメーカーは、旧Tesla社という名前(イーロン・マスクはたぶん関係ない)で、スロバキアに工場がある部品メーカーらしい。
音質はどうか?ということで、色々Web記事を調べてみたが、ブロックコンデンサしか見つからなかった。

ただ、見た目が水色って結構映えますよね。見た目的には良い音鳴りそうだが、不明。

他にも、フィルムコンデンサ(緑色)や積層セラミックコンデンサ(オレンジ色)が使われていた。
DENON PMA-390は、部品にかなりこだわっている印象を受ける。

イコライザー部のコンデンサ交換

ニチコン MUSE FG (Fine Gold)ニチコン MUSE ESメタライズドポリエステルフィルムコンデンサに交換した。

ニチコン MUSE ES は、「オーディオ微少信号回路用両極性品」の謳い文句で、珍しく両極性(バイポーラ)コンデンサだ。
緑色のスリーブでお馴染み

イコライザー等の回路で使用するのに向いていると思います。私はオペアンプの付近によくMUSE ES を使いますね。特にクセはなく、音質の底上げができる(解像度アップが期待できる)。

コンデンサの交換で、この緑色が出てこないと、なんだか寂しいので、どこかには必ず使うようにしている。
(なぜかと言われると、肉ばっかり食べてないで、野菜も食べた方が…みたいな感覚ですかね)

イコライザー部コンデンサ交換

こだわった部品がどんどん並んでいきます。自分好みのコンデンサが並ぶと、嬉しいですね。

イコライザー部コンデンサ交換

ちなみに、オペアンプは BA15218 が使われていた。
ローム社の「デュアル高スルーレート・ローノイズオペアンプ」だ。
けっこう評判良く、特に高音の抜けが良いというレビューを目にすることが多い

その他諸々部のコンデンサ交換

ここは入力回路かな?途中少し疲れてきて、回路パターンを追うのを忘れてしまっていた。
PHONO端子入力か、汎用入力か、そのどちらかの回路だと思います。

→確認しました。PHONO入力(アナログプレイヤーなどの入力)用のフォノイコライザーアンプ回路でした。アナログプレイヤーは前の家においてきたので、最近はPHONO入力を使っていないので、この部分のコンデンサ交換は不要だったな…と後になって気づく

入力周りのコンデンサ

J.J製のオーディオコンデンサ(水色)が多く、オペアンプ前の平滑コンデンサに、Aconの安物コンデンサが使われていた。

DENONは、信号部の味付けにこのJ.Jというスロバキア製のコンデンサを多用していますね。どういう特徴を持ったコンデンサなのか気になりますね。

そういうDENON社の思惑は無視して、オペアンプの電源平滑にはニチコン MUSE FG、オペアンプの高周波ノイズ除去用にフィルムコンデンサ、その他適当にニチコン MUSE ESをつぎ込んでおいた。

入力部コンデンサ交換

ちなみに、このオペアンプは新日本無線(NJM) 2068DD だ。
2068DDは、「位相補償回路を内蔵し、アクティブフィルタ、オーディオ用プリアンプなどの音響機器及び工業計測機器に最適です。NJM2068DDは入力換算雑音電圧選別品です。」という謳い文句。

低音の量感が好評のオペアンプ。末尾の「DD」は、たくさんのロットの中から、雑音が小さなものを選定しましたという、優等生に付けられた称号だ。

その奥の細長いICは、LC7821 というスイッチICだ。8-ch x2 のアナログスイッチ。ここに様々な入力がつながっている。

電解コンデンサの交換完了!

約40個のコンデンサを交換した↓

古い電解コンデンサ

20年以上もの長い間、活躍してくれてありがとう。

音質の変化

エージング前に聴いた感想は、解像度が飛躍的に向上し、モッサリしていた音が、ビシビシと芯のある音になった。低音はまだ量感が足りない感じだが、締まった。今後エージングにより、低音の量感が増すことを期待する。高音(シンバルの音や鈴の音)がとても涼やかに shiny に鳴るようになった。

24時間経過した後の音の変化について、結論は「全体的にとっても良くなった」。やはり、「電解コンデンサは経年劣化するんですね」「自分の好みのコンデンサを使うと好みの音になりますね」

観点コンデンサ交換後の変化
低音圧倒的に量感が増した。また、芯のある太い迫力のある低音になった。ボリュームを上げると、下っ腹が痺れるような重低音が響くようになった。低音好きとしては最高だ。

 

これは、電源の電解コンデンサ8200uFが、経年劣化位により容量が小さくなっていたことが原因だろう。この静電容量が低下すると、AC→DC変換時の交流成分のノイズが残って、太い低音が出づらくなる傾向がある。交換後は、10000uFと元よりも容量が増加したので、オリジナルよりも低音が出るようになったと思う。他にも、オペアンプ周辺の220uF程度のコンデンサの交換なども低音の量感増加に効いているように思う。

中音低音・高音と比較して、中音域はあまり大きな変化は感じられない。
強いて言えば、アコースティックギターの音が、より生演奏っぽく艶っぽくなったかな。
あと、残念なことに、女性ボーカルの声が少し奥に引っ込んでしまったかもしれない。ここは、今後のエージングにより改善すると嬉しい。
高音解像度が向上した。高音領域に包まれたベールを1枚剥がしたような感じ。澄んで音を聞き分けられるようになった。

 

ここはやはり、カップリングコンデンサを電解コンデンサからフィルムコンデンサに変更したことで、高音帯域の周波特性が向上したことの影響が大きいだろう。

全体まず、最も変化が大きいのは低音の量感が増加したことだ。これが最も顕著な違いとして現れた。

 

次に、ベールを1枚剥がしたような、解像度の向上だ。音の一つ一つが粒立ち、輪郭がしっかりした。

悪い点を挙げるなら、古いアンプ特有のまろやかなレトロな感じは無くなってしまい、少し無機質なモニタリング用の優等生っぽい音になってしまったことだ。これは今後のエージングにより、嫌でも改善されることだろう。変化をじっくり楽しみたいと思う。

電解コンデンサのエージングには、最低100時間以上は必要との情報がある。
電解コンデンサは、はんだ付けの熱ダメージにより、アルミ箔による電極の酸化皮膜が欠損するが、電圧を付加することで、欠損した酸化皮膜の再結成が進み、欠損を修復してくれる。これをエージングと呼んでおり、この修復に100時間くらいはかかるらしい。

最後に、電解コンデンサを全て交換するのはけっこう労力を要するので、まずは優先度を付けて少量交換すると良い。

オススメは、下記2つの電解コンデンサを交換すると良い。

(1)電源平滑用の大きなコンデンサ(容量は1000uF〜10000uFくらい)
この大きなコンデンサの容量減少が、経年劣化により最も顕著に音質低下につながってしまうと思う。この容量が減少すると、低音がどんどんスカスカになり、音の輪郭も失われていく。これを交換することで、低音の量感増加、解像度の向上が期待できる。

(2)カップリングコンデンサ(容量は0.1uF〜22uFくらい)
カップリングコンデンサをフィルムコンデンサに変更すると、解像度が向上して、高音がキレイになる。これはオススメのカスタムだ。
どれがカップリングコンデンサかを見分けるのが少し難しいかもしれないが、スピーカー側端子から辿っていって、スピーカー端子に最も近い信号を分断するように直列で接続されているコンデンサが、カップリングコンデンサである。0.33uFなど、他では使われていないけっこう特殊な静電容量値のものが使われていることが多いので、そういう見つけ方もあるかもしれない。

番外編:フロントパネルのLEDを青色化

PMA-390IIが発売された時は、1996年なので、青色LEDはあまり普及していなかったのだろうか。
青色LEDは1989年に開発されて、その後普及したのはちょうどこの時期くらいだろうか。

当然、前面パネルには、青色LEDは使われておらず、赤色LEDなどだ。
ちょっと古くさいので、青色LEDに換装することにした。

アンプのLED交換

入力切り替え基盤はこんな感じ↓

LED基盤

これを、青色LEDに換装した↓
(AUXとTUNERだけ青色LEDに換えたところ)

青色LEDに換装

このように、入力切り替えを青色LEDに変更した。
青色LEDにした途端に、新しいアンプっぽく見えるから不思議だ。

青色LEDに変更

番外編:ボリュームノブの重量アップ

PMA-390IIの唯一の不満点は、ボリュームノブがプラスチックで安っぽいところだ。

コイツだ↓

PMA-390IIのボリュームノブ

まぁ、見た目は悪くないのだが、裏返すとお気づきだと思うが、こんな感じ↓に中空になっていて、重厚感が皆無だ。しかも、可変抵抗にスポっと挿しているだけなので、微弱な振動で、このノブはカタカタと振動してしまうことだろう。

PMA-390IIのボリュームノブ

アルミ削り出しの適合しそうなボリュームノブを探したのだが、安価には売られていなかったので、暫定対処として、プラスチックの隙間に、ホットボンド(グルーガン)を充填して、重量を増加させて、振動を軽減することにした。
グルーガンはめちゃくちゃ便利なので、1つ持っておくと良い。
(余談だが、Amazonで商品を買うと、ダンボールの底にひっついている透明な接着剤があると思うが、それもホットボンドで接着されている。安いし、簡単に乾くし、ある程度強度があるのに、簡単に剥がすことができる)

PMA-390IIのボリュームノブ

方法は簡単、ボリュームノブの隙間に、ブニュ〜っとホットボンドを溶かし入れていく。
熱が冷めれば、自然と硬化していく。
だいだい2〜3本くらいの接着剤の棒を使った。

こんな感じで穴が埋まった。ノブの重さは、だいたい倍くらいになったんじゃないか?というくらい重たくなった
まだ中心の部分に隙間があるので、更に充填できる余地があることになる。

PMA-390IIのボリュームノブ

ボリュームノブが重たくなったおかげで、ボリュームを回すときの重厚感が増して、高級オーディオっぽい感覚になった気がする
満足だ。

ノブが重たくなったことにより、ガタツキは軽減されているだろうか。
そもそも、筐体からハム音などのノイズや異音はしないので、このあたりは不明であるが、自己満足感は向上した。

ボリュームノブの重厚化

中心部分に、「まだ隙間があるなぁ、そこにホットボンドを充填したいなぁ」とずっと気になっていたので、結局充填してしまいました。
すごく重たくなって良い感じです。もうプラスチックじゃないくらい重たい感じ。

コメント

  1. より:

    電解液は油???????

  2. つちもく より:

    おはようございます。
    家のPMA3901型の片方の音が消えない、音量が左右リンクしない を解決しようとして
    辿り着きました。
    面白く読ませていただきました。

    • kei より:

      ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです。

      その症状でしたら、メインボリュームが怪しそうですね。修理で直ると良いですね!

  3. まえかわ より:

    もし暇があったら、電源用コンデンサやデカップリングコンデンサに0.1uFのPMLCAPをつけて音質が良くなるか試してみてほしいです。(リード線をつけるのはめちゃくちゃ大変ですが)