FX AUDIO DAC-SQ5J
NFJ (North Flat Japan:ノースフラットジャパン株式会社) は、2010年に設立した大阪和泉のオーディオメーカーだ。
自分たちで工場を持っている訳ではなく、質の良い中国製品(中華製品)を選定して、品質管理をして、日本のマーケットに卸売をしているようだ。
元々は、ヤフオクでの販売をしていたそうだが、それが上手くいったので、法人化してYahoo!ストアやAmazonでの販売を開始したとのこと。
NFJのオーディオ機器は、安いのに良い部品を使っており、音質が良いとかなり人気が出てきている。
1万円ほどで購入できるので、試しにポチっと購入してみた。
ちなみに、自身で PCM1794A+CS8416 を使った DAC の回路設計をしたりもしているので、そんな観点から、FX AUDIO DAC-SQ5J の素晴らしさを分析していこうと思う。
FX AUDIO DAC-SQ5J 分解
DAC-SQ5J が到着して、さっそく分解してみた。
だって、フロントパネルに六角ナットが見えてしまったのですもの、分解せずにはいられません。
DALEの抵抗、フィルムコンデンサ、ELNAの電解コンデンサ、クリスタルオシレータなど、全体的にとても良い部品を使っている印象。
それでは、部品を見ながら、各機能部の特徴を見ていこう。
DAC: Burr Brown PCM1794A
DAC の音質の支配項と言っても過言ではないくらい音質を左右する DAC-IC は 最高音質と言われている Burr Brown 社の PCM1794A が使われている。
分解能 | 24bit |
サプリング周波数 | 10〜200kHz |
S/N比 | 127dB |
ダイナミックレンジ | 最大132dB |
歪み率 | 0.0004% |
フィルタ | 8倍オーバーサンプリング ディジタルフィルタ |
動作方式 | ステレオ作動出力(4つのDACを有する) |
このスペックを見て欲しい。
ノイズの小ささを表すS/N比 (Signal / Noise 比率)、ダイナミックレンジ、歪み率ともに、最高値だ。現行のDAC-ICの中でトップクラスと言われているのが分かる。ちなみに、DAC単体価格は、だいだい2000円ほどもする高級DAC-ICだ。
解像度が高く、迫力のある音を出すということで有名なICだ。
この写真↓の右下の小さなICが、PCM1794Aだ。キレイにはんだ付けされている。
(素人が手ではんだ付けすると、こんなにキレイに付けれません)
DAI(オーディオレシーバIC): AK4113
DAI (オーディオレシーバIC)には、AK4113 が使われている。
AK4113は、日本メーカーである旭化成エレクトロニクス製の24bit 192kHzのDAI-ICだ。
オーディオレシーバICは、S/PDIF(光ケーブル)や同軸ケーブルで受信したディジタルオーディオ信号を、I2S (Inter-IC Sound)というDACチップが食べれる形式に変換して出力する役割を担う。
DAI-IC としては、Cirrus Logic社の CS8416 などが有名だが、AK4113 はクロック精度が高いということで、高音質に貢献できると評判が良い。
AK4113は、低ジッタなPLL ( Phase Locked Loop : 位相同期回路 ) を持っており、高精度なクロックを内部で生成させることができる。
これに加えて、↓写真の左にある銀色の長方形の箱が写っていると思うが、クリスタルオシレータが生成した高精度なクロックを外部から供給を受け、ディジタルオーディオ信号のクロックを正確に送り出し、ジッタノイズを抑制している。
また、電源ラインには、ELNAの2200uFの大容量電解コンデンサが割れ当てられており、電源ラインの安定化(リップル含有率の抑制)を実現している。
また、写真からも分かるが、レギュレータICがふんだんに使われており、要となるICへレギュレータICから独立して電源供給が行われる回路設計になっており、電圧変動が少なく、電源ラインの低ノイズ化が対応されている。
アナログ回路 オペアンプ
PCM1794A から出力されたアナログ信号は、電流出力なので、オペアンプによりIV変換を行う。1段目のオペアンプでIV変換して差動出力(バランス出力)にし、 2段目のオペアンプでアンバランス出力に変える回路となっている。
1段目のオペアンプ(I/V変換)には、超低歪である米国ナショナルセミコンダクタのLME49720NAが使われている。
秋月電子で1個200円で販売されているオペアンプだ。
LME49720NAは、バイポーラのオペアンプで、原音に忠実で味付けのない優等生な音が鳴ると評判のオペアンプだ。
そして、2段目のオペアンプ(アンバランス出力)は、Texas Instruments 社の OPA2604 だ。
1個600円くらいする高級オペアンプだ。
OPA2604 は、自作オーディオ界隈ではかなり有名なオペアンプだ。すべての回路がFET(電界効果型トランジスタ)で構成されている。
OPA2604は、音に迫力があり華やかさがあると評判のオペアンプだ。
最後の出力抵抗には、DALEの高級抵抗が使われていて、とても好印象だ。
入力端子群
光入力(S/PDIF)、同軸入力(Coaxial)、USB入力、アナログ出力を持つ。
RCA端子は、どれも金メッキ加工であり、ほんとうに部品にはこだわっている様子が見て取れる。
音質レビュー
さて、お待ちかねの音質レビューだ。
構成は、こんな感じにした↓
iPhone -> (AirPlay) -> Apple TV -> (光ケーブル:S/PDIF) -> FX-AUDIO DAC-SQ5J -> ONKYO A-909X -> 自作バスレフスピーカー
アナログアンプであるONKYO A-909Xの概要はこちらのエントリをどうぞ↓
比較対象のDACは、Raspberry Pi の I2S 出力から直でDACする MINIBOSS I2S DAC を使用した。
(ちなみに、かなり高音質のDACだ)
音質比較結果
FX AUDIO DAC-SQ5J | MINIBOSS I2S DAC (Raspberry Pi) | |
低音 | 低音に締まりがあり、小気味よく腹に来る低音を鳴らせる。 | 重いドーンという低音。 |
高音 | キラキラしていて鈴の音などが涼やかでキレイ。細かい音まで聴き分けられる。 | 高温は軽め。ある意味、聴きやすい音かな。 |
解像度 | 極めて高い MINIBOSS I2S DACを超えるとは驚いた。 | 十分に高いが、DAC-SQ5Jと比較すると聴き劣りしてしまうのは事実。 |
全体的な感想 | ステレオ感に優れる。特にギターとピアノの音がキレイ。特筆すべきは解像度と低ノイズ性で、これまで聴き分けられなかった細かな音を聴き分けることができる。 DACを交換するだけで、ここまで音が良くなるのか!?と感じるくらい素晴らしいDAC | ステレオ感に乏しく感じてしまう。ただ、解像度も音の迫力も、十分に優れたDACだ。 (ただ、DACSQ5Jと比較すると、聴き劣りしてしまう感は否めない。おそらく、RaspberryPiからの雑音混じりの電源を利用しているからだと思う。電源を変えると化けそう) |
DAC-SQ5Jは、1万円とは思えないくらい、とんでもないDACだと言える。
もう少ししたら、コンデンサやオペアンプの交換をして、自分好みの音にカスタマイズしたいと思う。
FX-AUDIO- 限定生産製品専用オーディオ用ポリエステルフィルムコンデンサ 250V 3.3μF 335J 2個セット ネッ…
コメント
純国産じゃなくて中華製ですよ。
ご指摘ありがとうございます。NFJ(North Flat Japan)は、中華製のプロダクトの品質管理をしてるんですね。誤解しておりました。記事修正致します。
お手数おかけしてすみません。
オーディオ関係を中心に参考にさせて頂いており楽しみに拝見しています。
今後も楽しみにしております。
私のコメントは削除しても構いませんので。