車のアーシング強化により走り出しトルクアップ・燃費向上・オーディオ音質アップができた話

「アーシング」って知ってますか?

車やバイクの電気系の仕組みとして、マイナスの基準電位(グランド:GND)=所謂「アース」は、車体(ボディ)にしてあることが一般的だ。

バッテリーや、オルタネーターが提供する12Vの電圧は、この車のボディである基準電位(0V)との差分によって提供される。

だが、ここで問題がある。
車やバイクのボディには、鋼鉄という素材が使われていることが多く、また、エンジンにはアルミ合金等の素材が使われている。これらの素材は、実は電気抵抗値が比較的大きい

下記の超適当な図を見てもらうと分かりやすいと思うが、車のボディの抵抗値が大きいと、電流が流れるとそれだけ電圧降下が発生してしまい、電気部品に期待した電圧を印加できなくなってしまう。

例えば、車だと12Vが多いが、車のボディで0.1〜0.5V程度の電圧降下が発生してしまうと、11.5〜11.9Vしか電圧がかからないことになってしまう。

一方、電気部品を接続するためのケーブルに使用されている導線は、銅であり、電気抵抗値が比較的小さい(下表参考)。

素材電気抵抗値(10^-8 Ω/m)使用される場所
10〜20車のボディ
アルミ2.75エンジン
1.72導線

そこで、大きな電流が発生する車のパーツ(エンジン、ヘッドライト、オルタネーター等)の部品とバッテリーとを、伝導率の高い太いケーブルで接続することにより、余計な電圧降下の発生を抑制する、というのがアーシング強化と呼ばれるカスタムになる。

また、車やバイクは古くなると、アース線とボディの接触点が錆(サビ)等により腐敗し、抵抗値が次第に大きくなってしまい、経年劣化することも多い。
そのため、特に古い車やバイクにおいて、アーシングを行うことで、本来の性能を発揮させる効果を体験できる場合が多い。

なお、EV車やハイブリッド車は、電飾系が複雑になっている場合が多いため、専門知識が必要となるため、素人にはオススメされないので注意されたい。

私の車はハリアー30系(2GR-FEのV6エンジン, 3.5リットル)であり、10年超え選手の車であり、だいぶアース線とボディの接点が劣化してそうだし、純粋なガソリン車なので特に難しいことも考えなくてOKなので、アーシングにチャレンジしてみることにした。

本投稿の文末に、アーシング強化の体感レビューがあります。

アーシングに必要な材料は?

まず、アーシングケーブルと、バッテリーのマイナス端子に接続するターミナルが必要になる。

1万円以上する高級品もあるが、2000円も出せばこれらがセットになっているお買い得な商品が売られている。

私は、Amazonで人気No.1(ベストセラー)となっていた下記のアーシングケーブルセットを購入した。

届いたのがこちら↑

安い割に、割と品質が良くて安心した。

ただし、付属するタイラップ(結束バンド)は、脆すぎて使い物にならなかったので、要注意だ。
使おうとすると、ケーブルを留めておくツメが一瞬で吹き飛ぶので使い物にならなかった。

安いものなので、タイラップは別売りで買ったほうが良いだろう。

あとは、ケーブルを車のボディやバッテリーターミナルと接続するために、工具としてラチェットレンチが必要になる。

いざ、アーシング強化をDIYで施工してみた

まずはアーシングを行う前(before)のエンジンルームはこんな感じ。

エンジントップカバーを外すとこんな感じになる。
(エンジントップカバーは、ゴムでハマっているだけなので、工具無しで簡単に外せた)

ハリアー30系 2GR-FE エンジンヘッドカバーを外したところ

エンジン部分を拡大するとこんな感じ↓

アーシング強化を施す場所として、最も効果が高いのが、エンジントップだ。
スパークプラグによる点火等で大電流が流れるため、エンジントップにアース強化を行うカスタムはとても一般的。

ケーブルを固定しているパーツにちょうど良いネジがあったので、ここにアーシングを施した。

ここから、左に伸びているアーシングケーブルが見えると思うが、これは後述するがボディ右前箇所のアーシング強化を行うために、ここで中継している。

エンジントップカバー内は、比較的高温になりそうなため、アーシングケーブルを這わせることは回避したかったのだが、スパークプラグ関連の導線など、既設のケーブルも多くあったため、問題ないと判断した。

しばらく走ってみて、ケーブルが溶けたり異変が起こっていたら、取りやめようと思う。

次は、ボディ右前部分のアーシング強化だ。

これは、右目のヘッドライトの光量が増えることで有名なアーシングポイントだ。

車のバッテリーから遠い距離にあるため、効果を確認できることが多いらしい。

ネジを最後まで緩めきって外すことも考えたが、ミスってネジを落としてしまいそうだったので、アーシングケーブルの端子を、ニッパーで切断して、最後までネジを緩め切らずとも、端子を差し込めるように改造した↓
(エンジンルームにネジなどを落とした際は、探索→引き上げがとってもとってもたいへんなので、その対策ですね)

お次は、バルクヘッド(運転席や助手席とエンジンルームを仕切る壁)だ。
ここのアーシングを強化すると、オーディオの音質アップやラジオの音質アップ、DVDやバックモニターの映像のノイズ低減の効果が期待できるアーシングポイントだ。

ちょうど、良い感じの使われていないネジ穴を発見したので、ここをアーシングポイントとすることにした。

こんな感じですね↓

ちょうどよい短いケーブルがなかったので、仕方がなく蛇行させた。
(本当は、もっと奥のバルクヘッドにアーシングポイントを付けたかったのですが、手が届かずに断念しました)

バッテリーターミナルには、こんな感じで接続した↓

けっこうバッテリーターミナルに錆が発生して腐敗していたので、接点復活剤を塗布して、キッチンペーパーでゴシゴシしてがんばりました。

アーシング後の全体像はこんな感じ↓
青いケーブルが浮いていて、カスタム感はありますが、けっこうダサいですね。
まぁ、実利を取るのでしょうがないです。

エンジントップカバーを付けるとこんな感じ↓
エンジントップカバーって、見た目的にすごく重要なんですね。
エンジントップカバーを装着すれば、見た目は比較的マシですね。

アーシングに挑戦すると、エンジンルーム内のパーツの役割や名前を覚える良いきっかけになりますね。
変なところにアーシングポイントをしかけられないので、色々とググって勉強しました。

アーシング強化の気になる効果は!?

アーシングはプラシーボ効果では?眉唾では?ということがよく言われるので、率直な体感変化をメモしておこうと思う。

なお、バッテリーのマイナス端子を一度外してしまうと、ECUのメモリーが飛んで、再学習が走ってしまって、before/afterの効果が体感しづらいと予想し、バッテリーのマイナス端子は外さずにアーシング強化を施工しました。
(危ないので、良い子は真似しないでね)

アーシング強化の体感効果は下記のとおり↓

項目アーシング強化の体感効果
アイドリング600rpmから550rpmに低下した。
アイドリング時のエンジン音がとても静かになった印象。
走り出しぬるっと滑らかになった。アクセル操作が繊細になった感じ
しかし、1速から2速にATで切り替わる時に、ちょっと「がくん」となるようになってしまった。
→後日追記:この「がくん」現象はしばらく走行していたら直りました
高速巡航変化なし!(残念)
ライト光量体感10%くらい明るくなったかな?
(車検でカットラインが出ないとひっかかることが多かったので嬉しい効果)
オーディオ音質これが一番変化があった項目。
低音の締りが大きく増して、低音ズドンズドン響くようになった。
またボリュームがいつもは29なんですが、26で良くなりました(オマ環情報ですが)。

全体的に、「アースが強化された!」っていう感じの芯のある音になった。
(「アースが強化された!」音ってどんなの?ってことが読者は知りたいのだと思いますが、著者の言語能力ではこれが限界でした。察してください)
バックモニタ変化なし!
(みんカラの報告では、バックモニターのノイズが大きく軽減されたレポをしていた人がいたので期待していたのですが、変化なしです。まぁ、元から特にノイズはなかったんですが)
燃費街乗りの燃費が1km/リットルくらい向上印象
(こればっかりは、私の右足の加減も影響するので、正しく評価できないのが難しいところ)

ということで、オーディオの音質アップが最も体感できる効果でした。

この車は、オルタネーターノイズなどに苦しんだ経験もあったので、オルタネータが近いエンジンブロックのアーシング強化、及び、バルクヘッドへのアーシング強化が功を奏したのだと思われます。

アイドリングが静かになり、走り出しもヌルっとした走り出しになったので、エンジンパワー的な効果も感じられました。
特に、アーシング強化当初は一時的に1速から2速にミッションが切り替わる時に「がくん」となるようになったので、確実な変化が発生したことは間違いないと思います。
(バッテリーのマイナス端子を外さずにアーシング施工したので、ECUリセットは発生していない)

ライト光量もアップし燃費も向上したっぽいので、良い事尽くしです。

所要時間は1時間未満のお手軽カスタムなので、車をカスタムすることが好きな人は、DIYにトライしてみてはいかがでしょうか?
(もちろん、自己責任になりますが)

追記:アースポイントの追加(オルタネータ近く)

車は、エンジンがONの間は、基本的にはバッテリーから給電されるのではなく、オルタネータ(発電機)が発電した電力を使用する

試しに、シガーソケットに接続する電圧計などをチェックしてみると、エンジンがONの間は14.2〜14.4Vと高い電圧であり、エンジンを切ってACCにすると、12.5〜12.6Vになると思う。
オルタネータが発電する電力の電圧は、この高い14.2〜14.4Vであるため、エンジンONの間はオルタネータが発電した電力を使っていることが分かる。

さて、前置きが長くなったが、エンジンONの間(つまり走行中)は、オルタネーターが発電した電力を使用するため、アーシングにおいては、オルタネーターから各パーツへ配線したほうが、効率的であることが分かる。

アーシングのカスタムをしている猛者達のブログで紹介されている記事の多くでは、バッテリーを拠点として、各パーツへ配線している場合が多いが、実は前述のとおりなのだ。
(とは言っても、極太のアーシングケーブルで接続するので、オルタネーターを拠点に使用が、バッテリーを拠点にしようが、電気抵抗的には大差ないので、精神衛生上のお話の域を出ないかもしれない)

という訳で、「オルタネーターから、アーシング強化を行うべき」という指針に基づき、オルタネーターのアーシングを強化した。
下図において、エンジンオイルを注ぐキャップがある横に、純正のアーシングポイントがあるのだが、ここがオルタネーターに近い(この下にオルタネーターがあるので)。

従って、このオルタネーターが近いエンジントップのアーシングを強化した↓

オルタネータ近くにアースポイントを追加

オルタネーター近くのアーシングポイントから、バッテリーに設けたターミナル(拠点)へ接続した↓
(「え、さっきオルタネーターを拠点にした方が良いって言ってたじゃん」というツッコミが聞こえてきますが、エンジントップ付近に拠点を作るのは、高温になりそうで怖いし、スペースなかったんだもん)

アーシングポイントの追加(オルタネーター)

オルタネーター付近にアースポイントを追加した効果は!?↓

これが一番効果ありましたね。
走り出しが、更にぬるっとした感じにスムーズになりました。
アクセルが繊細になった感じで、ちょっとアクセルを踏むだけで、高感度にその反応をしてくれる感じです。

追記:マフラーアース追加

アーシング強化と言えば、必ず話題にあがるのが、マフラーアースだ。

マフラーは、実は絶縁体であるゴムで吊られているため、高温の排気の流れで発生する静電気を逃がしづらく、マフラーは帯電してしまうことが多いらしい。

静電気が溜まると、排気の気流に影響を与えて、抜けが悪くなるとのことだ。

そういうことを頭の中でイメージしていると、気づくことがある。

「あれ?マフラーって、排気ガスが通るってことは、エンジンと接続してるんじゃなかったっけ?」

そうなのだ、エンジンから続く排気の流れを担う長い筒がマフラーな訳だが、エンジンの根元とマフラーは金属的につながっているはずなのだ。

なので、電気的にはマフラーもエンジンも同じ電位になっているはずである。

ただ、エンジンからマフラーカッターまでの距離は確かに長いので、静電気が帯電するというお話は一理あるかもしれない。

ということで、マフラーとボディを接続するマフラーアースに挑戦してみることにした。

マフラーアースを接続する場所として、最も一般的なのは、下図のようにマフラーの接合部に、アース線を取り付けるケースだ。
(バネがついたネジのところですね)

しかし、私の車は古いこともあって、このネジが固着してしまっており、スパナーを力いっぱい押し上げても回らなかったので、断念することにした
(KURE 556をスプレーして2日寝かせてもだめだった。おそらく、リフトアップすれば、力を入れれるようになるので、外せたと思うのだが、ジャッキアップもリフトアップもしない状態では無理だった)

マフラー接合部

そこで、出番となるのが、ホースバンドだ。
ホースなどを留めるための金具で、ステンレス製だ。
なんと、200円も出せば購入できてしまう。素晴らしい。

マフラーアース用に購入したホースバンド

届いたのがこちら↑

44mm〜70mmの直径に対応したサイズにした。

このホースバンドのネジを回せば、径のサイズが次第に小さくなったり大きくなったりする、という便利製品だ。

残念ながら、このネジは外せないので、アースワイヤーをこのネジに挟み込むことは叶わない。

そして、肝心の購入したマフラーアースのためのアーシングケーブルはこちら↓

汎用 マフラー アース 300mm ME30

汎用 マフラー アース 300mm ME30

660円(12/21 05:33時点)
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片方はM10のネジ穴に対応しており、もう片方はM8のネジ穴に対応しているため、マフラー接合部のバネのついた太いネジにも接続が可能だ。
(多くの場合、マフラー接合部のバネのついたネジの太さはM10なので)

さて、ではさっそくマフラーアースを取り付けていく。
ホースバンドをこんなふうに、タイコとタイコの間の筒にマイナスドライバーを使って固定する。

マフラーアース取り付け

アーシングケーブルは、ホースバンドに通して、一緒に圧着した。
本当は、M10のネジ穴に入れてネジで固定したかったが、ネジが回らなかったので仕方がない。

マフラーアース取り付け

ボディ側には、ちょうどネジが飛び出しているところを見つけたので、ここに六角ナットを付けて、接続した↓
(簡単かんたん)

マフラーアース接続

マフラーアースの効果↓

カテゴリ効果
マフラー排気音不明
(もともと、このハリアー君は排気音が静かだし、デッドニングを頑張っていることもあり、排気音は運転席から聞こえないので、before / after で比較ができなかったので、排気音の変化はわかりませんでした!)
走り出し「スー」っとスムーズに加速するようになった。特に、信号待ちからの加速
燃費燃費は、私の右足の踏み具合なところもあり、正直言って定量的に評価するのは難しいが、少し燃費が良くなった気がします。

マフラーアースは、オカルトカスタムと言われている改造だが、昔の車では、純正でマフラーアースが施工されいてる車があったりしたので、効果は確実にあると私は思います。

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