オルタネータノイズとは
エンジンの回転に合わせて、「ヒューヒュー」という音が鳴る場合は、オルタネータノイズだ。
オルタネーター(発電機)が電力を作り出す訳だが、電力会社が生成する家庭用電力と違って、エンジンの回転により発電機を回すことから、発電機が作り出す電力は、ノイズが多い。
また、オルタネーターは、強力な磁界を作って発電する仕組みのため、周りに大きな磁場を作ってしまう。ループした回路などがあると、ループした回路で電磁誘導により電位差が発生し、これがノイズとなることも多い。
オルタネーターノイズの対処方法
オルタネーターノイズの対策として、下記のものが考えられる。
それぞれ試してみたので、レポする。
まずは総括としてまとめをこちらに書いておく。
(1)フェアライトコアを電源ラインに入れる
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:☆☆☆☆☆、音質:変化なし)
(2)Bluetoothレシーバを良いものに変える
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:★☆☆☆☆、音質:★★★☆☆)
(3)グランドループアイソレータを信号ラインに入れる
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:★★★★★、音質:★☆☆☆☆)
(4)オーディオ機器のGNDを同じところから取る
(お手軽度:★★★☆☆、オルタネーターノイズ除去度:★★★★★、音質:★★★★☆)
(5)バッ直(バッテリーから直接GNDを取る)
(お手軽度:★☆☆☆☆、オルタネーターノイズ除去度:★★★★★、音質:★★★★★)
ちなみに、この(3)〜(5)の方法で解決するオルタネーターノイズの種類は、オーディオ機器間のGNDの電位差が原因となる場合の対応策である。
確認方法は、音源(iPhoneなど)を、電源から話してiPhoneの持つバッテリから動作させるなどして音楽を再生して、オルタネーターノイズは発生するかを確認すると良い。車の電源から離した状態で、オルタネーターノイズが発生しないのであれば、(3)〜(5)の方法でオルタネーターノイズは除去することができる。
(1)フェアライトコアを電源ラインに入れる
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:☆☆☆☆☆、音質:変化なし)
フェアライトコアを、オーディオ機器の電源ラインに入れるという方法だ。
フェアライトコアはこういうものだ↓
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高周波に対して、インダクタが抵抗成分となるので、熱として高周波を除去してくれるという仕組みである。
車のオルタネーターノイズはだいたい800Hzくらいらしいが、フェアライトコアのノイズ除去可能周波数はMHzオーダくらいだ。つまり、フェアライトコアではオルタネーターノイズは除去できないのである。
(フェアライトコアは、電子機器が発生する高周波ノイズを、周辺機器に影響を及ぼさないために使用することが多い。)
実際、フェアライトコアを2つくらい付けてみたが、オルタネーターノイズは一切解決しなかった。
(2)Bluetoothレシーバを良いものに変える
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:★☆☆☆☆、音質:★★★☆☆)
最初は、AUKEYの安いBluetoothオーディオレシーバを使っていたのだが、コイツが良くないのか?と疑いたくなった。
そこで、違うBluetoothオーディオレシーバを使ってみることに。これだ↓
結果は、少し音質が良くなったかな?というくらいで、オルタネーターノイズは一切解消しなかった。
(原理を考えると、そもそもBluetoothオーディオレシーバと、オーディオ入力先であるチューナーのGND電位差なので、Bluetoothオーディオレシーバの機種を変えたところで、変わるわけが無いのである)
(3)グランドループアイソレータを信号ラインに入れる
(お手軽度:★★★★★、オルタネーターノイズ除去度:★★★★★、音質:★☆☆☆☆)
オーディオラインに、「グランドループアイソレーター」という難しい名前の機器をはさむだけで、嘘のようにオルタノイズが消えた。
わずか1000円程度で、電源も必要ないような機器をかますだけでオルタネーターノイズが消えた。
グランドループアイソレータの仕組みは、オーディオ信号ラインを1つのコイルに通し、前述コイルと並列する形で、もう一つコイルを置くことで電磁誘導で電位差を発生させる。この出力を、新オーディオ信号ラインとするのである。
こうすることで、GNDラインが完全に切り離されるので、GNDループが発生しなくなる(なのでグランドループアイソレータという名前なのである)。
お手軽にオルタネーターノイズを除去したいときは、グランドループアイソレータをかますのが手っ取り早くて効果も絶大だ。
しかし、オーディオ信号にコイルを噛ませる方式なので、音質劣化が否めない。-2dBほど出力が小さくなり、S/N比も低下する。
また、コイルの特性上、周波数に対して、直線的な電磁誘導特性であれば良いが、そんな訳は無く、原音からは遠ざかってしまう。
お手軽で良いのだが、オーディオマニア的には、できれば避けたい方式だ。
(ピュアオーディオ的には、信号ラインに直列で挿入するカップリングコンデンサを入れたくないというのに似てる。カップリングコンデンサは特性が良いものが多い。対してコイルはそんな良いものは無いし、原理上コンデンサよりも音質劣化が激しい)
(4)オーディオ機器のGNDを同じところから取る
(お手軽度:★★★☆☆、オルタネーターノイズ除去度:★★★★★、音質:★★★★☆)
私の車(ハリアー350G Lパッケージ)は、外部オーディオ入力は、下の写真のピンク色で囲ったチューナーに入れるようになっている。一方、音源のiPhoneとBluetoothレシーバは、運転席付近のシガーソケットから取っている。
お察しの良い方はお気づきになったかもしれませんが、トランクルームのチューナーのGNDと、運転席付近のシガーソケットのGNDは、かなり距離がある。オルタネーターが発生させる磁場の影響を受けてこのGND間に電位差が発生し、オルタネーターノイズが発生するというメカニズムだ。
詳しくは、こちらのエントリを↓
そこで、Bluetoothオーディオレシーバの電源を、このチューナーから近いところから取ることにした。
お手軽に電源を拝借できそうなところとして、このHDDがあったので、ここからACC電源をエレクトロタップで分岐して取った。
こんな感じだ。まずは仮置きのため、配線はぐちゃぐちゃだ。
(写真には、グランドループアイソレータが写っているが、ここで外しました)
グランドループアイソレータを外して、音質をチェックしてみると、オルタネーターノイズが完全に消えた!
さすが、GNDの電位差が諸悪の根源なので、GNDを物理的に近いところから取ると、効果テキメンである。
グランドループアイソレータによる音質劣化も回避できるので、音の解像度、臨場感、低音の締まり、ステレオ間、全てにおいて飛躍的に音質向上した。
エレクトロタップによる配線方法などの詳細は、こちらのエントリを↓
さらば憎きオルタネーターノイズ!
この他にも、カーオーディオの電源を安定化させて音質アップする方法もある。こちらのエントリに書いたので興味があれば御覧ください↓
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